ご自分でお選びください

今回はカラオケに関するお話。先日来店した50代後半であろう一見さん。お酒を飲んだらちょっとカラオケが歌いたくなって、ふらりと当店にやって来たそうな。

「カラオケが歌いたくなって」と言うから、曲も決まっているのかと思いきや、「何を歌ってほしい?」と私に尋ねる。出会って10分も経たない相手に歌ってほしい曲なんて、特にないのが正直な気持ちだけど、ここは優しく「いえいえ、お客さんの歌いたい曲を歌ってください」と言うが、「え〜? 1つも歌ってほしいのないの?」と食い下がる。
せめて数曲歌った後なら、好きなジャンルやら好きな歌手やら、大まかな枠も見えるのに、初めて会っていきなり歌ってほしい曲なんて無茶だよ。内心は、リクエストを受けるほど上手いのか? なんて大きな疑問もあったけれど、そんなこと言えない言えない。
仕方がないので、曲じゃなく歌手から攻めてみようと、一見さんの年齢から、「石原裕次郎はどうですか?」提案するも、「裕次郎か〜。ちょっと苦手なんだよな」と言う。「じゃ、フォークソングはどうですか? 吉田拓郎とか南こうせつとか素敵ですよね」と提案しても「フォークか〜」と気がすすまない様子。もう、勝手にしてって感じ。

「何聴きたい?」「何歌ってほしい?」と尋ねる人にこちらがリクエストすると、往々にしてあるのは「その曲はちょっと歌えないな〜」という感じの答えだ。こちらはその度に、相手の年齢やら好きそうなジャンルやら、はたまた曲のメジャー度など、いろいろ考えて絞り出してるのに、それじゃガックリ力が抜ける。「何歌ってほしい?」なんて、何でも歌える人しか言っちゃいけないんでないかい?

結局その一見さんは、他のお客さんが入店したので自分で曲を選び始めた。それで歌ったのは、星野源の『恋』。そんな全然年代が違う曲が好みなんて、分かるわけないよ。

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