30歳で飲み屋デビューして約13年。その間に何度か警察のお世話になった。もちろん私が何度か警察に捕まったというわけではなく、110番に電話して助けてもらったということだ。
初めての110番通報は、私がまだホステスをしていた頃のこと。カウンターに１人で来店していたお客さんにはちょっと酒乱の気があったようで、突然ボトルを振り回して暴れだしたので、ママに言われて110番した。子どもの頃に習ってよく知っている番号だけど、実際に掛けるとなると緊張する番号だ。
自分でお店を持ってからも、何度か110番する場面があった。酔って暴れてしまって収拾がつかず110番。無銭飲食で110番。お客さんの年齢層が高いしホステスもいないので、欲望でギラギラ、なんてこともなく平和な毎日だけど、それでも何年かに１度くらいは困った事も起こる。
つい最近も、ちょっとしたお客さん同士のトラブルで、お客さん自身が110番通報した。内容的には警察を呼ぶ程のことではないと思える小さなトラブルだったけど、きっと勢いで呼んじゃったのだろう。警察官が双方から話を聞き、多少時間はかかったけど、とりあえず問題は解決した。
「最後に、ママさん、一応お店の営業許可証を見せてくださいね」と言われたので警察官に書類を渡し、私はお客さんの対応をしていた。もう閉店時間になってしまっているので、片付けやらなにやら、小さいとはいえトラブルの緊張感も手伝ってお疲れモードの私。そこへ、先ほど書類を渡した警察官が小声で呼び掛けた。
「ママさん、すみません。生年月日を教えてもらえますか？」小声の正体は、優しい気遣いだった。お客さんの手前、もしかしたら年齢を隠しているかも知れない私に、こっそり年齢確認。その気遣いのお陰で、クスッと笑えて少し疲れも取れました。ちゃんちゃん♪
