厄介なお客さん

土曜日の夜だった。どこかのボーイさんが、60代くらいの男性を連れて来た。
「すみません。男性1人入れますか? 3000円くらいで飲ませてほしいんですが。うちの店が満席で……。」
なんでも、そのボーイさんのお店が満席で入れないらしく、私のお店に連れて来たと言う。お客さんはカウンターに2人いるだけだ。「大丈夫ですよ。ありがとうございます」とお礼を言い、紹介された男性をカウンターに案内した。知らないボーイさんだったけど、きっと以前入り口に貼ってあった『3000円飲み放題』の表示を見たことがある近所の人なのだろう。
紹介されたこの男性、一見分からなかったけど、なかなかけっこう酔っていて、カウンターに座るなり「さっきのお店入れなくてよ〜」と、ここに連れて来られた経緯を大声で話し出す。その後次々とお客さんがやって来て、私もパタパタしだしたのであまり長居はせずに帰って行ったけど、けっこう厄介な酔い方をするタイプのようだった。

週明けの月曜日、あの男性が今度は紹介ではなく自主的にやって来た。名前はGと教えてくれた。そして相変わらず酔っている。声が大きく、カウンターにいるお客さんにも大声で話し掛ける。苦笑いで応じるお客さんには申し訳ないし、酔っ払いの大声はお店全体の雰囲気を悪くする。
「あのボーイさん、もしかしてG氏を私のお店に厄介払いしたんじゃなかろうか」そんな思いが心を過る。

G氏がカウンター越しに握手を求めてきた。握手くらいなら普通は応じるけど、大声で怒鳴るように話すG氏の握手はサラリと断った。すると「俺が怖いのか?」と聞いてきた。「怖い」と言われたことがあるのだろう。もしかしたら、あのボーイさんのお店の女の子が怖がるからと、私のお店に連れて来られたんじゃなかろうか。女1人でやっているお店に厄介払いなんて、誰かが怖がる相手なら私だって怖いんだ。
あぁ、いつも紳士なお客さんに囲まれている分、久しぶりの厄介なお客さんに疑心暗鬼になってしまっている。

BAR TO BAR 外装 BAR TO BAR 内装

BAR TO BAR

  • 住所/那覇市松山1-15-20 大文閣1F MAP
  • TEL/098-863-0757
  • 営業/19:00~翌1:00
  • 店休日/日曜・祝日

MENU

  • カウンターBAR
  • セルフBAR