外国人風

外国人みたいなお客さんが来た。常連の新垣氏(仮名)のお連れさんで、見た目は全くの日本人だ。いや、日本人よりも濃いウチナーンチュ顔だ。でも、喋ってみるとなんだか内地の人のようなイントネーションで、顔はウチナーンチュで、そして動きというか表情やジェスチャーが外国人みたいなのだ。
手を広げて肩をすくめたり、大げさなウインクをしたり、目配せをしたり、唇を摘むような投げキッスをしたり、新垣氏をハグしたり、とにかく表情豊かで動きが激しい。きっとサービス精神旺盛なのだろう。
新垣氏と、その外国人みたいなお連れさんは共に50代で、もう何十年の付き合いだという。名前はすぐにウチナーンチュだと分かる苗字(仮に国吉氏としよう)だが、内地暮らしが長かったせいで内地っぽいイントネーションになってしまうんだそう。
これで、内地っぽい喋りの謎は解けたが、外国人みたいなジェスチャーの謎がまだ残っている。

国吉氏は言葉選びも面白い。上記したように、新垣氏とは長い付き合いで、仕事でもプライベートでも仲が良いと私に説明してくれる中で、「俺はこいつを愛している」と言うのだ。「愛してる」なんて、恋人同士の仲でもなかなか使わないのに、男の友情で「愛してる」なんて、やっぱり外国人風だ。
動きの激しい国吉氏の側で、新垣氏はハグされたり、肩を叩かれながら「愛してる」と言われても、「いつものことよ」と慣れたものだ。一方私は、強烈な個性の国吉氏を前に、ちょっと戸惑っていた。ちょくちょくする目配せの意味が分からないし、大きな動きはずっと話しているとやけに疲れるし、なぜ外国人っぽいんだ? という疑問は頭から離れないしで、なんだかエネルギーの消費が早い。

国吉氏の人の良さそうな笑顔の前に、「どうして外国人っぽいんですか?」とは聞けずに、謎は謎のままに終わってしまった。

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