涙はごめんよ

カラオケの選曲は難しい。特に好きではないので、純粋に歌いたい! と思えないからだと思うけど、選んだ曲にいちいち言い訳をしてしまう。
「この前、誰かがこの曲歌ってて、私もいいな〜と思って……」とか、「私、高い声が出ないので、たぶん歌えないと思うんですけど、初チャレンジで……」とか、そんなような言い訳だ。他の人のそういう発言を聞いていると、そんなこと言ってないで、下手でもサクッと歌ってるほうがかっこいいと思うのに、それでもついつい逃げ道作りのために言ってしまう。
テーマが決まっていると、選曲がずっと楽になる。数人で順番に歌おうという場合、おしゃべりも交えながら、手拍子や拍手も交えながらだと、案外自分の番が回ってくるのが早い。そういう時に、例えば「雨」とテーマが決まっているといないとでは、選曲のスムーズさが違うし、何より「今日は雨が降ってるから、森高千里の『雨』にしてみたけど、歌えるかな?」なんて言い訳を言わずに済む。うーむ、こんな風に考えると、私はやっぱりカラオケが好きではないみたいだ。
先日、M氏が1人で来店した。年齢は50歳くらいで、10年前から知っているが、来店するのは年に1・2度くらいだ。なんだかブルーな気分のようで、「悲しい感じの歌を歌いたい」と言う。悲しい感じとは、失恋?それとも違う暗い雰囲気?今までにないテーマなので、すごく難しい。先頭を切ったのはM氏で、歌ったのは五輪真弓の『恋人よ』。なるほど失恋系ね!と思ってM氏を見たら泣きながら歌っていた。
おいおいおい。これはどうしたものか。最初は見て見ぬ振りをしたけど、歌う声も若干震えてきて無視は出来なくなった。でも優しくもしてあげられない。「ちょっと〜、泣くのはやめてよ。私はそういうのには付き合ってあげられないよ」と、無難な春っぽい歌を歌った。 カラオケには付き合うけど、そんな湿っぽいのは勘弁だ。

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