理解不能

私のお店には、カップルのお客さんも時々いらっしゃる。その場合は、男性に対してより女性に対して非常に気を遣う。特に初めて来る女性は軽い緊張感と警戒心を持っているので、話し掛けるのも視線を送るのも女性の方を多めにし、「私はあなたの敵ではありません」「無害な人物です」「あなたのお連れの男性とは、お客と店員以上の仲ではありません」というメッセージを、言葉ではなく態度で表現する。

先日、久しぶりに来店したA垣氏が、珍しく女性を連れていた。A垣氏は開口一番「ママ、俺の彼女のK子ちゃんだよ。よろしくね!」と紹介してくれた。A垣氏と私は長い付き合いで、知り合って恐らく12年ほど経つ。女性を連れて来たのは初めてだ。2人ともカラオケが大好きなようで、交互にそれぞれの年代の曲を歌っている。
見ていると、A垣氏のほうがK子ちゃんにゾッコンのようだ。歌声を褒めたり選曲を手伝ったり、甲斐甲斐しくK子ちゃんに構っている。愛されているわねK子ちゃん♪
A垣氏とK子ちゃんカップル以外に他にお客さんはいなかったけど、ラブラブなお二人に必要以上に接客はせず、私は邪魔をしないように時々お酒を作るだけにしていた。

A垣氏はデュエットも好きだ。いつも1人で来店した時は、私と一緒にいろいろ歌った。その時と同じ感覚なんだろうか、「ママ、俺とデュエット歌おう!」と誘ってきた。「いえいえ、K子ちゃんと歌ってください」と断っても、「ママと歌いたい」と聞かない。その側で、あからさまに不機嫌になるK子ちゃん。そりゃそうだ。
なんでさっきまで好き好き光線を送っていた彼女の目の前で、私とデュエットを歌いたくなるのか、彼女の不機嫌な顔が分からないのか、うーむ。全く持って理解不能。仏頂面のK子ちゃんと、笑顔のA垣氏と、困り顔の私。デュエット曲よ、早く終われ。

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