追い返しちゃった

前に何度か飲みに来てくれたことのあるK氏が、とても久しぶりに来店した。K氏はこの界隈でよく飲んでいるようで時々見かけたけど、私のお店に来るのは本当に久しぶりだ。けっこう深酒をするタイプのようで、彼女に支えられて歩く姿を何度も見た。

チリンチリンとドアベルの音と共に入って来たK氏だが、ひと目でかなり酔っているのが分かるほどフラフラしている。そしてそのままドアを背もたれに座り込んでしまった。席にもたどり着けない程に酔っている人は、さすがに面倒見きれない。お店で眠り込んでしまわれては困ってしまう。
「Kさん、大丈夫ですか? こんなに酔ってるならこれ以上飲めないでしょ? 帰りましょうね」と腕を引っ張り立たせて、帰るよう促した。最初は「なんで?」とか「大丈夫だよ」と言っていたけど、案外すんなりと帰って行った。きっと近くの料理屋さんで働く彼女の所へと行くのだろう。そうでなくても大の男なので、いくら酔っていても心配は無用であろう。

さて、そんなことがあったことなどすっかり忘れた数週間後、K氏が彼女を連れてやって来た。近くで働く彼女のことも私は顔見知りだ。
「まさか追い返されるとは思わなかったな〜」とK氏はあの日のことを言う。いえいえ、追い返したのではなく、飲み過ぎていたみたいなので帰ってもらったんですよ。
いやしかし、覚えているとは予想外。あんなに酔っ払っていたので、心のどこかに「どうせ覚えていないだろう」と、多少雑に扱った節はある。いかんいかん。
話を聞くと、彼女のお店で飲み過ぎて眠りこけていたので、私のお店で待っているように彼女が指示したそうだ。それを追い返されたので途方に暮れたと。ちゃんと迎えが来るなら先に言ってくれればいいのにね。そしたら追い返さなかったのにね。

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