猛反省

 ある日、出張で沖縄に来ているという40代半ばくらいの男性が一見で訪れた。

 私のお店はカウンター席とそれ以外の席(セルフバー)に別れていて、料金も飲み放題のドリンクの種類も違う。その旨を説明したら、男性はカウンター席を選んだ。

 カウンター席の方が料金は高くて飲み放題の種類は少ないので、はっきり言ってセルフバーの方がお得だ。それなのにカウンター席を選ぶのだから、この男性は少し会話も楽しみたいのだろう。

 男性は1時間ほど飲んで、お店の雰囲気とか、カラオケが無料なこととか、料金のこととか、いろいろ気に入ってくれたみたいで「明日も来るね」と帰って行った。

 さて翌日、その男性は予告通り来店してくれた。今度は女性を2人連れていた。2人とも男性と同じように出張で沖縄に来ているそうだ。そしてその日はカウンターではなく、セルフバーに座った。セルフバーは女性が好きそうなお酒もソフトドリンクもいっぱいあるし、きっと気に入ってくれるはず。

 他にお客さんはいなかったので、セルフバーの3人の話し声が時々私のところまで聞こえてくる。男性がしきりに「このお店良いだろ? 安いし雰囲気も良いし」と女性に話しかけていて、1人は賛同して楽しそうにしているけど、もう1人の女性のテンションが妙に低い。どうしたのだろう。

 人の好みはそれぞれなので仕方ないけど、やはり気に入ってもらえたら嬉しいし、そうでなかった時は、どこが悪かったのかどこを改善したらいいのかと考える。結局、その女性はテンション低いまま、他の2人は楽しい雰囲気のまま、2時間くらい飲んで帰った。

 3人が帰った後テーブルを片付けていると、あの女性のテンションが低かった理由が判明した。たぶん理由はコレだろう……。

 なんと、テーブルの足元にゴキの死骸が転がっていたのだ。私のお店では、営業時間外に害虫駆除剤を散布していて、毎日出勤したらゴキの死骸がないか確認している。それなのにその日は死骸を見落としてしまったようだ。幸か不幸か、床の色が濃い茶色の柄模様せいで見つけにくいのだ。茶色の床のゴキを私は見逃して、あの女性は見つけてしまったのだろう。そりゃ足元にゴキの死骸があるのに、「良いお店だね!」なんてとても思えないだろう。

 せっかく来てくれたのに、不愉快な思いをさせて申し訳なかったです。ウチナーサイズのゴキを見慣れない人からしたら、その恐怖と不快感は私の倍以上だったことでしょう。今後は毎日のチェックで見落としのないように、猛省中です。

BAR TO BAR 外装 BAR TO BAR 内装

BAR TO BAR

  • 住所/那覇市松山1-15-20 大文閣1F MAP
  • TEL/098-863-0757
  • 営業/19:00~翌1:00
  • 店休日/日曜・祝日

MENU

  • カウンターBAR
  • セルフBAR