私は黒衣

 お店の面積の半分をセルフバーというシステムに変更したのが去年で、それから時短営業やマンボーを経て、ようやく制限なく自由に営業できるようになった。

 今までのお客さんは40代から60代の男性の常連さんがメインだったけど、セルフバーのおかげで少しずつ新規のお客さんも増えてきた。年齢層も広がって20代30代も増えている。特に嬉しいのが、女性のお客さんの増加だ。今までは男性に連れて来られての来店だはりだったのが、最近では女性のみの来店もある。

 女性は服装も男性に比べてバリエーションが豊富だし声のトーンも高いので、一気にお店が華やぐ。女性グループが奥の席でワイワイガヤガヤ、時にはキャハハと楽しそうに飲んでいるだけで、その他の席の男性客も、そして私も癒される。お店の雰囲気がグッと良くなる。

 先日、女性2人組が「セルフバーで、軽く1時間だけ」と言いながら入ってきた。内1人は前にも何度か来店したことのあるカラオケの大好きなお客さんだ。

 その時カウンター席に男性のお客さんが数人いて、「最近は女のお客さんも来るようになったの? 凄いね!」とお褒めの言葉を頂いた。

 その女性2人組がカラオケを歌い出した。2人とも歌が凄く上手い。カウンター席のお客さんは後ろを振り向いて拍手喝采を送る。そう、思わず拍手したくなるほど歌声なのだ。

 誰かが歌い出すと、周りも歌いたくなる。そうして気がつくとカラオケ大会になっていた。セルフバーの女性のお客さんたちとカウンターの男性のお客さんたち、お互いがお互いのカラオケに手拍子したり拍手を送ったり。

「1時間だけ」と言っていた女性客も、「明日早いから」と言っていたはずのカウンターの男性客も、時間を延長して楽しんでくれた。まぁ、あのカラオケの盛り上がりの中で「じゃ時間なんでお先に失礼します」なんてとても言えないだろう。

 これぞまさに私が目指しているお店のあるべき姿だ。私は場所とお酒を提供して、後はお客さん同士で盛り上がる。私は黒衣(くろご)に徹してお酒の補充係になるのだ。その第一歩が面積の半分のセルフバーで、いつかお店全部をセルフバーにして、本当に黒衣でいられるように、今はシステム構築中〜。

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BAR TO BAR

  • 住所/那覇市松山1-15-20 大文閣1F MAP
  • TEL/098-863-0757
  • 営業/19:00~翌1:00
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