１日の中で、お店の開店準備をしている時間が１番好き。おしぼりを柔軟剤の水に浸して絞り、冷凍庫で冷やす。前日のグラスを洗い棚に並べる。干してあるコースターとマットも片付けて、チャームのお菓子を籠に盛る。最近はその準備の時間にお香を焚いて、癒しを追加した。
軽くトイレを掃除したり、床に掃除機を、これまた軽くかけたり、酒屋さんに注文の電話をしたり、大した事ないけど細々とした仕事が結構あって、完璧に準備完了となるのにだいたい１時間はかかっている。８時のオープンだけど、すぐにお客さんが来るわけではないので、のんびり準備時間を満喫している。
つい最近、お客さんに「楽しそうに仕事してるよね。だからお客さんも飲みに来ちゃうんだよ」と言われた。とても嬉しい褒め言葉だ。プライベートな飲みの場とはもちろん違うけど、お酒の席は好きだし、ビールも好きだし、お客さんとのおしゃべりは楽しい。それが仕事になっているのはとても幸運ラッキーWomanだ。「でも実は、準備時間の方が好きなんです」とは言えないね。そんな事言ったら、孤独が好きな根暗っぽく思えるもんね。
孤独といえば……。ずっと前に私がラウンジでホステスをしていた頃のこと、営業時間が終わり、お客さんも帰り、みんなで後片付けをして、「お疲れ様でした」とママに声を掛けてお店を出るその時、薄暗い店内に１人残るママの姿が、なんだかとても羨ましかった。私がこの扉を閉めたら、もうそこはママだけの空間なんだな〜と、あの瞬間が、私もいつかお店を持ちたいと思った最初のような気がする。だから今も、閉店後にカウンターで１人ビールをちょっと飲んだりする。それもいい時間。やっぱり私はどちらかというとちょっぴり根暗なのかもしれないな〜。
