私のお店には、割と大きめの壁掛け時計がある。普通、飲み屋には「時間を忘れて楽しんで」と言う意味で、時計はないことが多いそうなのだが、私の店は時間制なので、時間を忘れてもらっちゃ困るのだ。
私は仕事の時、腕時計もしている。壁にある大きめの壁掛け時計も、いつでも近くに置いてあるスマホも、お客さんとの会話中に時間を知ることには向いていない。誰だって、話し相手が目の前で時間を気にしていたら気持ち良くないもんね。なので、キッチンやお手洗いに立った時にこっそり時間を確認するのに腕時計は必須なのだ。
先日、腕時計を家に忘れて来てしまった。腕時計なしで仕事をするのは久しぶりだ。腕時計がない状態での仕事は、予想以上にいろいろ不便だった。
不便ポイントの最初の1つ目は、滅多に予約の入らない私のお店なのに、その日はたまたま「10時過ぎに行くのでヨロシク〜!」と予約が入っていたことだ。それに合わせいろいろ準備したいけど、別のお客さんと会話をしながら心は「今なん時だろう。そろそろ予約のお客さんが来る頃かも」と、気が気でなかった。時間さえ分かればいろいろ動きようがあるのに。
不便ポイント2つ目は、ビールを飲むペースのこと。私が仕事中に飲むビールは全てお客さんにご馳走になっている。そのご好意が売り上げに直結するので、ガンガン飲みたい気持ちは山々だけど、さすがにそんなわけにはいかない。なのでビール1杯30分というマイルールをこっそり設けている。キッチンには割とちょいちょい立つので、その時に時間を確認して30分経っていたらそろそろビールのおかわりの打診をしてみようというわけだ。
そして何より、お店のシステムそのものが時間制の飲み放題なので、やっぱり時間は気になる。腕時計を忘れないようにと、いつも玄関の分かりやすいところに置いてあるのに、なんで忘れるかね〜。