夫がカウンターに入る時は、私がカウンターに入る時よりも店内の照明を明るくしているらしい。
私が入る場合は調光のツマミを絞って7割くらいの明るさにしている。明る過ぎず暗過ぎずといったところだ。いつも同じ明るさになるように、調光のツマミにペンで印をつけている。
夫が入る場合は調光を全開にして1番明るくしているんだとか。それでもワット数が低い電球なので食堂みたいに明るくはならないが、調光全開なんてBARにしてはちょっと明る過ぎる気がするんだけどな。
夫から、今日チコちゃんに「照明いつもよりちょっと明るくないですか?」って言われたんだよという話から、私の時との明るさに違いがあると知った。チコちゃんとは女性の常連さんだ。
私と夫それぞれに、自分の設定したその明るさが良いと思う理由があった。
私自身がよそのBARやスナックに飲みに行く時は、少し薄暗いほうがリラックスできるし雰囲気も好きなので、自分のお店でもそうしていた。だから夫に「薄暗い方が雰囲気が良いんじゃない?」と言うと、男同士で良い雰囲気で飲むのも変だしなぁと言われた。なるほどなぁ。カウンターは男性客率が高いので、夫の言い分も分かる。
私は雰囲気を良くするために、夫は雰囲気を良くしないために、それぞれ照明を調整していたのだ。
いつもより照明が明るいのに気がついたのは、前述のチコちゃんだけではないという。別の日にマミさんという、よくアフターで利用してくれる近くの飲み屋さんの女性にも「ちょっと今日明るくない?」と言われたそうだ。
女性だけが照明の明るさに気がつく理由が私にはよく分かる。以前に行ったことのある、とあるスナックの照明がやけに明るくて、自分の肌の状態だとか、酔っ払って気が抜けた顔だとかが明るい照明の下に照らされていると思うと、落ち着いて飲むことができなかった。薄暗さは粗隠しなのだ。
女性客がカウンターに座った時はちょっと暗くしてねってことで、夫との照明の話は落ち着いた。