不機嫌なお客さん

とある日の最初のお客さんは、お店に入って来た時からムスッと不機嫌そうな顔をしていた。前に1度だけ来たことのある人だった。おそらく50代前半くらいだろう。なかなか恰幅の良い男性だ。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」と声をかけて、カウンターの席に案内する。その男性は、なぜだかさも渋々という風に椅子に座り、お酒を選んでもらっている時も、こちらの目を見ず明後日の方を向きながら答え、やはりなんだか不機嫌そうだ。私は水割りを作りながら話しかける。
「前にもいらしてましたよね? お久しぶりです」
いかにも「ニッコリ」と聞こえてきそうな友好的な声掛けに、男性は「あぁ、30年前くらいにな」と、味も素っ気もない返答。
思い出すと、前回初めて来た時も無愛想だった。話しかけてほしくないタイプなんだわと、私は作戦を変更するとこにした。笑顔は絶やさないまま、カラオケのデンモクを差し出しおつまみのお菓子を出し、話しかけずにいた。黙って飲みたいのだろう。
会話を求めていないお客さんと2人きりだと、私はかなりの手持ち無沙汰なので、なんとなくグラスを片付けたり、ボトルを並べたりしながら過ごしていた。
「もしかして、ちょっと太った?」
不機嫌な男性が、やっと自ら口を開いたと思ったらそんな台詞とは。さすがに私も面白くないので、絶やさずにいた笑顔を消し、無表情で「そうですかね」と答えた。すると今度は「おばさん太り?」と聞いてきた。「そうかもしれないですね」と、これまた無表情に答えた。私はもちろん、男性もそれ以上会話を続ける気はないようだ。
不機嫌男性のお酒がなくなれば作るし、途中で「カラオケはどうですか?」と1度声を掛けたが手で振り払われただけだった。そして30分ほどで帰っていった。
誰かに無理やり連れて来られたわけじゃあるまいし、なんであんなに嫌そうだったのか。はぁ、今回は愚痴になっちゃいました。

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