お店にお客さんが１組、もしくは１人しかいない時によく言われる言葉に、「他に誰か来たら帰れるのにな～」というのがある。どうやら私１人を残して、お店にお客さんがいない状態で帰るのに心の抵抗があるらしい。
お酒も充分飲んでカラオケもいっぱい歌って、時間的にもそろそろ帰りたい頃合いなのに、他にお客さんのいないまま帰るのは心苦しいらしい。そういう優しい気持ちで思ってくれるのは嬉しいし有難いけど、私としてはお客さんのいない時は小休止としていろいろやることがあるので、要らぬ気遣いといえばそうである。
反対に、お客さんがいるとお店に来たがらないお客さんもちょいちょいいる。電話やメールで誰もいないかどうか、いるとしたら後どれくらいで帰りそうかとお店の様子を尋ねてくる。そういうお客さんは自分が飲んでいる時に他のお客さんが来店するとそそくさと帰る。すごくシャイなのだ。でも回数と共に、年月と共に、他のお客さんが少人数の場合なら気にせずに帰らずに居られるようになってくる。お店に慣れてくれたのだろう。
2018年の仕事始め、早い時間にＭ氏が来店し、和やかに談笑し「他に誰か来たら帰れるのにな～」と言いつつも誰も来ないまま痺れを切らして帰ることとなった。ドアの外まで見送ると、まだ正月休みの左隣の居酒屋さんの前から右手の道路のその先まで、パトカーと黄色いテープによって立ち入り禁止になっていた。つまり私のお店の前は人も車も入れないようになっていた。なんで??
パトカーの側にいたお巡りさんに聞いてみると近くで火事があったらしい。どうして私のお店の前の道まで立ち入り禁止になるのか分からなかったけど、そういう事らしい。Ｍ氏と「これじゃ誰もお客さん来ないはずだよね」と笑った。新年は苦笑いでの幕開けとなった。
