お店の整理をしていると、棚の奥のほうから古い手帳が出てきた。2009年の手帳だった。
2009年は、私がお店をオープンした翌年だ。自分の店を持ってまだ1年足らずの、気合いもやる気も焦りも持ち合わせていた頃だ。手帳の中身は、毎日の売り上げ額と、お客さんへの営業メールや電話の記録だった。
2009年は、まだお店が松山に移転する前の東町にあった頃で、規模も今の3分の2くらいしかなかったのに、売り上げは負けず劣らずか、もしくはちょっと多いくらいの数字が記されていた。あの頃の私はめちゃくちゃ頑張っていたな〜。
その頑張りは、営業メールの記録にもちゃんと残っていた。2009年だからLINEはもちろんないし、電話番号でメッセージを送る機能も、同じ携帯電話会社同士でしか送れなかったはず。だからEメールでの営業がメインで、それ以外は電話で営業を掛けることになる。電話なんて考えただけでもハードルの高いことなのに、2009年の私は頑張っていたようだ。
手帳はちょっと大きめなので、日付け毎の記入欄も大きめだ。そこに所狭しとお客さんの名前が書いてある。電話やメールで営業を掛けたお客さんの名前だ。『電』と『メ』のグループ分けは、電話かメールの違いを表していて、名前の前に◯や✖️や☆のマーク、そして名前を赤や黒のペンで囲んでいたり、いなかったりしていて、それは来店したか、もしくはその後にまた営業連絡をしたか、はたまた他の意味があったと思うけど忘れてしまった。
この記録の1番面白い所は、名前の後ろのカッコ内のメモで、そこにはお客さんからの返事が記されている。例えば(今日は残業で行けない)とか(風邪ひいている)とかだったり、(後から行くかも)とか(週末に顔出すよ)等々、お客さんの返事1つに10年以上も前の私が一喜一憂している様子が想像出来て、微笑ましく思ってしまう。手帳を見ていると忘れてしまっていた当時を少し思い出せる。
今、お店を新しく生まれ変わらせようと動き出していて、この手帳を見つけたのもリニューアルに向けての片付けの最中のことだ。忘れていた「初心」を手帳の中に見つけたので、これを機に心を入れ替えてみようかな。