期待に反して、金曜日なのに暇だった。
一週間でいちばん忙しいはずの夜に、
あまりに静かすぎて、雑用をこなしながら時計ばかり見ていた。
外観をリフォームしてからというもの、通りすがりの人が立ち止まり、ちょっと覗いてくれることも増えた。
なんとなく流れが良くなっている気がしていたから、その夜の静けさは、正直ちょっと凹んだ。
ドッカーンと忙しくなると思っていたのに。
お酒もソフトドリンクも、おつまみも――全部、完璧に揃えていたのに。
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翌日、常連のT氏が来店し、
「昨日はどこも暇だったみたいだよ」と言った。
話を聞くと、同伴出勤で行ったマミちゃんの店も、T氏以外にお客がいなかったらしい。
女の子が何人も付いて、ボトルが次々と空になった結果、けっこうな金額になったと笑っていた。
つまり――どこも同じだったのだ。
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そして帰り道、いつもはなかなかつかまらない運転代行が、すぐ来てくれたそうだ。
金曜日なのに。
なるほど、やっぱり街全体が暇だったのだ。
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昔から不思議だが、
街全体に「活気のある日」と「静かな日」がある。あれは一体、どういう仕組みなんだろう。
近くの居酒屋のスタッフも言っていた。
「週末なのに全然人がいないです」って。
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よそも暇だと聞いて、安心してしまう自分に苦笑いする。
よくない考えだと分かっているのに、
「自分の店だけじゃない」と思うと、どうしてもほっとしてしまう。
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そして翌週。
前回のことがあるから、
「期待しすぎないように」と自分に言い聞かせていたのに――
まさかの大繁盛。
団体さんに新規さん、常連さんまで顔を出してくれて、うれしい悲鳴。
あの“暇な金曜”の落ち込みは何だったんだろう。
こんな夜は、街全体に活気があるのだろう。
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結局は水商売。
日によって良い時も悪い時もある。
分かってはいるけど、
つい一喜一憂してしまうんだな〜。



