私のお店の向かいにはコインランドリーがある。近くにはホテルも多く、コインランドリーの利用者はとても多い。
ある日、1人の外国人が店に入ってきて、英語で何か話しかけてきた。身振りや聞き取れた単語から、「コインランドリーを使いたいので、両替してほしい」と言っているようだった。もちろん「OK!」と笑顔で応じて、千円札を小銭に両替してあげた。
それから5分ほどして、その外国人がもう1人の仲間を連れて再びやってきた。今度は両替ではなく、「洗濯が終わるまで、セルフBARで飲んで待ちたい」ということらしい。ありがたや。
私は英語の説明付きメニューを出し、「ここからここまで、セルフで飲み放題です」と伝えてグラスを手渡し、カラオケのリモコンも渡した。
カウンターのお客様と話しながら、ふと耳に入ってくる彼らの会話に耳を傾けると、どうも英語ではない。私はフランス語は話せないけれど、なんとなくフランス語っぽい気がした。
セルフ飲み放題は1時間単位。そろそろ1時間という頃、1人がカウンターに来て、2人分の料金、3000円を支払ってくれた。その時、「ここは素敵なバーだ」と英語で褒めてくれたので、「Thank you!」と私も笑顔で応えた。
彼は先に店を出て行った。きっとコインランドリーに戻ったのだろう。数分後、残ったもう1人も席を立ち、カウンターにいる私に声をかけながら、肩から下げたバッグの中をゴソゴソと探り始めた。
私はすでにもう1人からお代をいただいているので、内心ちょっと焦った。「もう頂きましたよ」と英語でなんて言えばいいのかと頭の中で考えていたら、その彼は「やっと見つけた」というような表情で、バッグの中から500円玉を取り出して私に差し出した。チップらしい。有り難く、笑顔で受け取った。
最初の両替から始まった、ちょっとしたご縁。心がほっこりと暖かくなった。



