お客さんになりたい

 高校の同級生のA君がたまに飲みに来てくれる。たった1年しか同級生でなかったのに、それ以来1度も会ったことなかったのに、私がお店を出したと風の噂で聞いて、わざわざ来てくれたのが再開のきっかけだった。

 彼は1人で来ることはほとんどなく、友達や先輩や部下や、仕事の業界仲間を連れてやって来る。

 人当たりが良く、でも仕事もバリバリ出来る彼なので、現在なかなかの地位にいる。いろんな人を連れて来ては、その度にそのお連れの人のことを何かしら褒め、そして私のこともとても良い風に紹介してくれるので、一緒に飲んでいて皆が楽しい気持ちになる。かと言って腰が低いわけじゃないのも彼の良いところだ。

 先日、A君が久しぶりに来てくれたので、なんの他意もなく「久しぶり〜」と言ったら、「なかなか来れなくて、ごめん。いろいろ忙しくて……」と申し訳なさそうに言われてしまった。来店が久しぶりなことを責めたつもりなんて微塵もなかったので、謝られたことに内心とても焦り、申し訳なく思った。そんなこと言わせるなんて、こちらこそ「ごめんなさい」だわ。

 こういうお客さん商売をしていると、友達との会話やLINE等のやり取りの中で、「今度お店に行くね!」となることが多い。お店に来てくれたらそりゃ嬉しいけど、本当の私の望みはそうではないのだ。

 みんなの集まりやすい週末に私は仕事なので、せっかく誘われても全然行けない。それなのに2次会に私のお店に来てくれる。有り難さ半分、申し訳なさ半分。嬉しさ半分、不満も半分。

 私の真の望みはなかなか叶わないが、本当は私もたまには友達とプライベートで飲みたいということ。自分のお店で接客する立場じゃなくて、私も一緒にお客さんになりたいんだ〜!

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BAR TO BAR

  • 住所/那覇市松山1-15-20 大文閣1F MAP
  • TEL/098-863-0757
  • 営業/19:00~翌1:00
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