当店１番の常連さんは、来店回数でダントツ１位のＡ氏である。最初の出会いは、Ａ氏が行きつけの飲み屋さんに行く途中に私を見かけて、声をかけてくれたことだった。それから早10年あまり。今も私のお店が存続出来ているのは、超頻繁に来店してくれるＡ氏のお陰もとても大きい。
いつも私のお店にＡ氏がいるので、他のお客さんも来店時や退店時に「Ａさん、どうも」とか「お先に失礼しますね」と挨拶をする。かと言って、Ａ氏は威張り散らすタイプではないので、そのお客さん達と軽く言葉を交わす。どちらともニコニコとしていて、とてもいい雰囲気で、お店側の私としてもお客さん同士が仲良くしているのはとても有難い。
Ａ氏は、私のお店だけでなく松山やその近辺の飲み屋をあちこち飲み歩き、そして運転代行を使って家に帰る。いかにＡ氏が毎日飲み歩いているかが分かるエピソードがある。Ａ氏は特定の代行ではなく、その辺で客待ちをしている運転代行に声を掛けて帰るそうなのだが、Ａ氏曰く、「どの代行に乗っても、道案内せずに家まで帰れる」そうだ。「なぜだかみんな俺の家を知ってる」なんて、どれほど飲み歩けばそうなるのだろう。
Ａ氏は私にいくらでもビールをご馳走してくれるし、会話は楽しいし、何より年齢が私と20歳は離れているので、どんなに私のお店に毎日居ても、誰も私とＡ氏との仲を疑わないのが良かった。そういう疑いは、マイナスにこそなれプラスにはならないので、無いほうが良いに決まっている。
それなのに、先日あるお客さんに、「間違っていたら謝るけど、Ａ氏はwomanのオーナーなの？」と聞かれた。そんな風に誤解してしまうお客さんがいるなんて、とてもショックだ。確かにほぼ毎日来てくれるので、なんだかもうＡ氏は「お客さん以上、友達未満」って感じだけど、それでもやっぱり、ただの大事な大事なお客さんってだけです。誤解なさらずに〜。