先日、常連さんが連れて来てくれた男女２人組を私は夫婦だと思っていたんだけど、後日聞いたところによると飲み屋のママさんと、そのお客さんだったそう。年齢はともに50代前半くらいで、とても仲の良い夫婦の印象だった。でも思えば女性のほうは確かに華やかな感じがしたし、聞いたことのないようなデュエットを何曲も歌っていたし、「なるほど」と思えることは確かにあった。
ママさんだと分かったのが後日で良かった。以前ほどではないが、やはり同じ職種の人だと分かると多少の緊張はある。それがママさんとなると一層だ。普通のお客さんとは違う視点で私の仕事ぶりや接客を観察しているんじゃないかと思ってしまう。しかもあの日はちょっとお店が忙しくて、カウンターのお客さんとカラオケを歌って、ボックス席ではダーツを投げて、ちょっとほろ酔いで、落ち着かない夜だったので尚更だ。
私がよそのスナックに飲みに行く場合も、自分の仕事はバレたくないと思ってしまう。それは素人感丸出しの私のカラオケのせいだ。なんとなく世の皆さんは、飲み屋のママさんはカラオケが上手いと思っていないだろうか。そのイメージは私も持っていて、ママさんがカラオケ上手だと、「さすがママさんだわ〜！」と思う。そして私はと言えば……。
先日行ったスナックで、頼りなげに歌う私に良かれと思ってママさんがアドバイスしてくれた。「声が小さいね。もっとマイクを口に近づけて、角度はこんな感じで〜」と、丁寧な指導を受けてしまった。まさか、どっかの飲み屋でママさんみたいなことをしているなんて、口が裂けても言えない。
この場を借りて言い訳をさせてもらうと、もともと声量がないのもそうだけど、大声が恥ずかしいのもあるのだ。だからちょっと意識的にマイクを離してしまう。まぁ、声量もないんですけどね。言い訳でした……。
