Kちゃんは、おそらく30代前半くらいだろうと思う。私のお店の近くのラウンジで働いていて、常連さんのO氏が同伴出勤の前に時々連れて来てくれる。
なんというか、淡い儚いという表現がぴったりの女性である。話し方も優しく、いつもニコニコしていて、子どもの頃に読んだ『十二歳の合言葉』という本の挿絵に出てくる少女のイメージそのもののような女性だ。
同伴出勤の前とアフターとで、私のお店に5.6回は来てくれただろうか。O氏がお酒を勧めてもKちゃんはいつもトマトジュースしか飲まないので、てっきりアルコールが飲めない体質なのかと思っていたら、どうやら違うらしい。
先日、私はお店を早めに閉めて、O氏にKちゃんのラウンジに連れて行ってもらった。あまり大きくはないお店だけど、雰囲気も良く女性スタッフもお客さんもいっぱいいて賑わっていた(羨ましいの〜)。
私とO氏の席に付いてくれたKちゃんは、いつものようにニコニコしながら、ごく普通にO氏のキープボトルの泡盛を飲んだ。あれ? トマトジュースじゃないの? お酒飲めるの? しかも飲むペースもすごく早い気がするぞ。
その場では、O氏にもKちゃんにも、なんとなく聞いちゃいけない気がして聞けなかったけど、後日O氏に教えてもらった情報によると、「俺が知っている女性の中で、Kちゃんは1番お酒が強い」そうだ。
Kちゃんはあんなに可愛い顔しているのに、O氏の倍以上のスピードで飲むほどの酒豪だなんて、人は見かけによらないのね。そして、酒豪なのに自分のお店以外では一切お酒を飲まないのも、これまた凄い。
あまりにも早くボトルが空くので、「ある意味、恐怖ではあるよ」と表現するくらいの飲みっぷりのKちゃんに、週に何度も会いに行っているO氏もなんだかちょっと可笑しくて、夜の世界は面白いな〜と改めて思った。