髪を切った。ロングからボブへと大変身だ。写真に写った自分の姿を見て、髪のあまりの重さに驚き、一念発起の断髪だった。髪の長さも重さも半分以下になった私。お客さんはどんな反応するかしら？
最初のお客さんはＴ間さん。いつもずっとお気に入りのキャバクラのお姉ちゃんの話ばかりをしているので、私のことは見てもいないのだろう。髪の話に一切触れることなく飲んで歌って帰っていった。
続いてのお客さんは常連さんのＯ城さん。来店して５分くらい喋ったところで突然、「あい！ 髪切ったね！ どうしたの？ 何かあったの？」と、気が付いての質問責め風なんだけど、自分でうんうんと何かを納得した感じで終わった。なかなか不思議な反応だった。
「あい！ 髪切っちぇーん！」とテンション高く突っ込んでくれたのは普段から話やすいと感じていたＡ垣さん。これくらい軽いノリで言ってもらえると、似合うとか似合わないとか関係なくて嬉しい。
同級生のＭ川君は、「あい、髪切ったんだね。ん？ 化粧も変えた？ 変えてないの？ 髪切っただけでこんなに雰囲気変わるんだね〜。なんか違う人と喋ってる気分なるね」と、奥歯にものが挟まったような妙な言い方が気になった。確かに、まだ数回しか来たことのないお客さんには「あれ？ 前と同じママさん？ こんな人だったっけ？」と言われるくらいだから、だいぶイメージが変わったのだろう。
髪を切って数日、ようやく初めて「ずいぶん短くしたんだね。いいんじゃない♪」と褒めてくれる人が現れた。「あい！」と驚きの言葉がないのは内地の人だからだ。別に褒めてほしかったわけではないけれど、この数日間で何人に会ったか数えていないが、それまで誰も褒めてくれないなんて、ボブがどれほど似合ってないのか。ショックというよりトホホな気分だ。
