私の夫は、車やオートバイについてとても詳しい。四輪と二輪の元プロレーサーで、その後はレース車両の製作に携わっていたし、現在はオートバイの修理屋さんから仕事を受け整備したりしている。その上、夫の息子は現役のプロレーサーである。詳しいのも頷ける。
私が体調を崩してお店を休んでいる間に、夫は車好きオートバイ好きなお客さんの心をガッチリ掴んでいた。
月イチの出張で沖縄に来るD氏は、そのたびに来店してくれて「今度オートバイを買い替えようかと思っているんだけど、◯◯ってオートバイどう思う?」とか、「バイクの保険てどういうのがある? 盗難保険って入ったほうがいいのかな?」とか、相談したり質問したり、同じ車好きオートバイ好き同士で、お酒を飲みながらあれやこれや話は尽きないようだ。
いつも女の子とアフターで一緒に来店するA氏は、女の子のお店からちょっと離れているにもかかわらず、夫と話がしたくてわざわざ来てくれる。「オートバイのマフラーを換えたいんだけど、どういうのがいいかな?」
深夜に来店するK氏は、仕事が大変でストレスが溜まっていると、ちょっと愚痴をこぼしたりする。オートバイや車に関係ないことでも夫は話しやすいらしい。
「ここに来たら癒されるんだよね〜」とカウンターに座り、夫と何時間も飲んで歌って過ごしてく男性客もいる。夫はヒゲ面の50歳を過ぎたオッチャンなのに、なんとも不思議である。



