「BAR」と書かれた看板を出してから、週末は米軍基地の人が来るようになった。英語が全く話せない私は、スマホに英語での料金の説明をメモしておいて、米軍さんに見せるという方法で対応していた。唯一言える英語は、飲み放題という意味の「all you can drink 」だけだった。去年の春ごろのことだ。
これからどんどん米軍さんが増えるだろうと、メモにしていた英語の文章を口に出して言えるようにこっそり練習していたんだけど、夏ごろからパタリと来なくなった。コロナの増加で外出禁止令でも出たのだろうか? それとも別の理由があるのか。使う場面のない英語の練習は辞めてしまった。
冬になって、理由は分からないが再び米軍さんが飲みに来てくれるようになった。久しぶりすぎて、唯一言えた「all you can drink 」すらも引っ掛かるようになっていた。スマホにメモした英語の文章が再び大活躍だ。
そうなると英語の練習の再開だ。と言っても覚えるのはたった2つの文章だけ。簡単なはずなのに、今までほとんど接したことのない米軍さん相手である緊張と、英語を話すことの小っ恥ずかしさと、ちゃんと発音出来ているか通じるのかという不安で、実践は案外難しい。1人で繰り返し声に出して練習して大丈夫そうだと思っても、いざ実際に米軍さんが来店したらスマホを見せて対応してしまう。
年が明けて、少しずつ私も慣れてきたのか、気がつくとスマホなしでも対応できるようになってきた。
「How many people?」(何名様ですか?)
米軍さんが来店したら、とっさにそんな言葉が出るようになってきた。
「The fee is thirteen hundred yen per hour 」
(料金は1時間1300円です)
「Please make your own drink 」
(自分で飲み物を作ってください)
上記の2つは言えるようになったので、目下の目標は
「Do you want to extend the time?」
(時間を延長しますか?)
を言えるようになること。今週末にトライしよう。卯年生まれだけど、歩みは亀なのだ。

