ある日の一見さんは相当若かった。若い一見さんはほぼ確実にセルフバーを選ぶんだけど、そのお客さんはおひとりということもあってか、カウンターに座った。
カウンター席では、私はお客さんとおしゃべりしたりカラオケを歌ったりしながら、お客さんからビールを頂くのが通例だが、今回はお客さんがかなりお若いのでビールは頂かず、飲み放題の料金だけで楽しんでもらうことにした。私はこのお客さんの年齢を24歳くらいかな? と読んでいたが、聞くと20歳ということだ。息子よりも年下だ。
20歳の青年が、初めてのお店でカウンターに座り、ママとおしゃべりをしながらカラオケを楽しむ。なんとチャレンジ精神の旺盛なことだろう。
時間と共にお店は賑やかになり、カウンターもセルフバーのボックス席もお客さんで埋まった。20歳の青年は驚くほどカラオケが上手で、彼の歌は周りのお客さんから拍手喝采を受けた。
彼の憎いところは、「父親が好きな曲」と言ってB’zや尾崎豊を歌ってその世代(私を含め)のお客さんを盛り上がらせ、青江三奈を歌って、さらに上の世代のお客さんのハートまで掴んじゃったところだ。弱冠20歳にしてかなりの手腕だ。
青年は2時間飲み放題を満喫して「明日は友達と一緒に来ます」と言って帰っていった。お店を気に入ってくれたようだ。
翌日、予告通り友達を連れて来た青年は今回はセルフバーに座った。前日は周りを年上のお客さん達に囲まれいて、楽しんでいる半面気も遣っていたけど、今日は友達と気楽に飲めているようだ。その日のお客さんによってお店の雰囲気は大きく変わるので、楽しみ方もまた変わる。
どんどん新規のお客さんが増えて、どんどんリピーターが増えて、若い人から年配の方まで、多くのお客さんで毎日賑わうお店になりますように。

